アカペラライブイベントを創ることについて

1年くらい前からライブイベントを創ることを夢想している。

夢想するたびに、ワクワクする思いと、胃がキリキリするような苦しさが同時に襲ってくる。

僕はアカペラに10年以上のめり込んでいるけど、そのきっかけは、アカペラ新入生のときに聞いた、先輩の音楽に感動したからだ。その感動をもう一度味わいたい。自分もあんなふうに歌えるようになりたい、そしてもし叶うならこの感動を誰かに伝え、それを分かち合いたいと思っている。

YouTubeなどのSNSをメインにアカペラ活動をしていると、対面でハモる機会は意外とない。多重録音という、マイクを通じて延々とパソコンに歌声を吹き込み編集し、それをSNSに投稿するのが自分の現在のアカペラ活動のメインであり、人生の時間の大部分になってしまっている。

学生の頃、朝から晩までアカペラ漬けの人生を送りたいなんて夢みたいなことを妄想していた。その夢は10年越しにある意味で実現したわけだけれども、当初思い描いていたような活動とは全然違うところに行ってしまっているのではないかという恐怖も本当のところ、少しだけ感じている。

幸いにも僕は多重録音の活動も大好きだし、一人でとことんマイクやMacに向かって作品を創るのは、人前でパフォーマンスするより得意だ。だけど、最近はあまりにも人と歌えていないし、昨年から活動を始めたアカペラグループRabbit CatでもTikTokやYouTubeの撮影・録音のために歌うことはあっても、演奏自体を詰める時間というのは活動全体の割合から見れば驚くほど少ない。(今のRabbit Catは、他にも大切な活動がたくさんあるから歌にだけ時間を割くわけにもいかない。それに今はそれが正しいと信じている。)

もともと10年前にライブ生演奏を聞いて感動したのが僕のアカペラの原体験だ。

やっぱり多重録音だけじゃなくて、仲間で輪になってせーので歌うアカペラをやりたいという気持ちはずっとある。

動画越しに190,000人もの視聴者が興味関心を持ってくれたアカペラという音楽を、「ライブの生演奏」で視聴者やファンの方に届けられたら、どれだけの感動を分かち合えるんだろう。(自分が直接生演奏を聞いて感動して人生をかけるくらいのめり込んでしまったみたいに)

想像するたび、ライブをやりたいという気持ちが募る。

自分はもともと目立つのが得意ではないし、むしろYouTube開始から8年間、一切顔を出さなかったくらいには注目を浴びたりすることを避けてきた人間だと思っている。だから、ライブで人前に立って歌うことは今はまだ好きになりきれてはないけど、そんな気持ちよりも、ライブをやりたいという気持ち、仲間とハモりたいという気持ちがだんだん強まる日々だ。

だけど…いざライブをやろうと本気で想像すると、ワクワクよりも先に恐怖が湧いてくる。

「コロナで直前にライブが中止になったらどうしよう」とか

「いい演奏ができなかったらどうしよう」とか

「お客様が全然こなかったらどうしよう」とか

「赤字になったらどうしよう」とか

「ライブに来てくれた人に値段以上の価値を提供できなかったらどうしよう」とか

不安が次から次へと現れる。

もし自分がアカペラのライブイベントを創るのであれば

お客様とは。自分がアカペラという音楽にはじめてであって感動したみたいな、若かりし僕の感情を分かち合いたい。

「アカペラっていいよね」って思ってくれる人と一人でも多く出会いたいし、一人でも多くの人にそんな気持ちを抱いてほしい。

なにより、ライブに来てよかったなって思ってもらいたい。

出演者のアカペラ仲間とは。僕が一緒に歌いたいと思うような人だから、みんな、忙しいだろうし、学生のときみたいにたった1,2曲の演奏のために15回も20回も集まってリハーサルするみたいなことはできないんだろうけど。

限られた時間の中で演奏するその瞬間を楽しみたいし、より良い演奏を届けたい。とおるすのライブに出てよかったなとか、とおるすと一緒に歌えてよかったなって思ってもらいたい。

関係者、スタッフのみんなとは。素晴らしいイベントを創れてよかったなって思う気持ちを分かち合いたいし、それぞれがそれぞれの得意な領域で創意工夫を凝らしてお客様に良い体験を提供できるようなイベントを一緒につくりたい。

そんなライブイベントを創れるようになりたい。

最初はきっと本当に小さな一歩からスタートするんだろうけど

そしていろんな失敗をするんだろうけど

70再生しかされなかったところから100万再生されるまで持っていったYouTubeのアカペラ活動みたいに

ライブイベントも、たくさんの人とアカペラを楽しんで

たくさんの人とアカペラを通じて感動を分かち合って

イベントの運営やサービス、演奏やMCも回数を重ねるごとにどんどん良くなって

その過程すら楽しめるような。

そんなイベントにしていけたらすごく嬉しいなと思う。

ロックフェスには「フジロック」「サマソニ」「ロッキン」みたいにいろんなフェスがあるけど

アカペラにだっていろんなフェスがあったり、聖地があったりしてもいいよね?

そういう未来が訪れるために必要なことはたくさんあるんだろうけど

そしてそんな未来が来たときに、自分はどういう立ち位置で関わっているかはわからないけど

小さな一歩を踏み出せたらいいな。

今はまだ空想でしか無いけれど、まずは、近い将来ライブイベントをやることになるかもしれない未来を、ぜひ楽しみにしていてほしいです。

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この記事を書いた人

アカペラクリエイター。
2020年ゴスペラーズへの楽曲提供により作曲家デビュー。
YouTubeチャンネル「とおるすアカペラチャンネル」はアカペラシーンにて日本最大級の登録者数を誇る

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